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1-3 求婚者

Author: 文月 澪
last update Last Updated: 2025-07-25 10:19:50

 ネフィは有言実行とばかりに私をひん剥くと、お湯をかけ、普段使わないような高級な石鹸で体の隅々まで磨き上げていく。それは薔薇の香りが素晴らしく、泡立ちも滑らかだ。こんな物が我が家にあったなんて。

「こんな石鹸、どうしたの」

 不思議に思ってそう聞くと、ネフィは誇らしげに胸を張った。

「リージュ様のここ一番に使うためにと、旦那様がご用意してくださったのです。今こそその時! 香油も一級品ですからね。王太子殿下も惚れ直す事請け合いです」

 惚れ直すなんて、お会いした事も無いのに何を言っているのか。

 でも、本当に何故私に求婚なんてされたのだろう。考えれば考えるほど分からない。父は王宮に上がっているから面識があるかもしれないけれど、私が王宮に行った事なんて両の指で事足りる。新年のお祝いや、十三歳の時、同じ歳の子息令嬢のお披露目で登城した程度だ。

 そう考えた時、何かが引っかかった。なんだっけ。確かあのお披露目パーティーの時に何かあった気がするけれど、思い出せない。もう五年も前の事だし、幼かったから記憶が曖昧だ。初めて参加した夜会に舞い上がってもいた。脳裏に浮かぶのは小さな影。あれは誰だったか……。

 頭を捻っている間にもメイド達の手は止まらない。髪を丁寧に洗われ、なされるがままに全身を揉み解される。仕上げに香油を念入りに揉みこまれ、髪はサラサラ、肌はツヤツヤと光を放っていた。ネフィ達も満足気にしている。

 部屋着に袖を通しやっと開放される。そう思ったら。

「明日また総仕上げを致します。お迎えは午後のお茶の時間でしたね。それまでに私共が最善を尽くして、リージュ様を三国一の美姫にしてみせます。ああ、楽しみですわ」

 恍惚とした表情で身をよじるネフィは、どこから見ても危ない人だ。この子は昔から何かにつけて私を褒め称える。私自身は凡人だと自覚しているのに。やれ髪が美しいだの、瞳が綺麗だの、こちらの方が居た堪れない。

 苦笑いで聞き流すと、ネフィは鼻息も荒く言い聞かせるように口を尖らせた。

「リージュ様、貴女様はご自分を過小評価なされておいでです。髪の色も茶色だなんて、素晴らしい亜麻色ではありませんか。瞳もまるで澄んだ宝石のよう。何故そんなに自信が無いのか、私には分かりません」

 そう言ってくれるのは嬉しいけれど、今まで誰にも求婚された事が無いのだから、自信も失うというものでしょう。幸い友人は数人いる。それでも、社交界での私の立ち位置は微妙なのだもの。夜会でダンスを申し込まれた事さえ無い。

 そんな中で、美しい人ならいくらでも見てきた。自信に満ち溢れ、胸を張って、美しく着飾った令嬢達と私は雲泥の差だ。多くの人に囲まれ微笑む令嬢達。それに比べて私は……。

 沈む私に、ネフィは溜息を吐き肩に手を置く。

「リージュ様、貴女様はお綺麗です。世の男共の見る目が無さすぎるのですよ。ですがそれも終わります。王太子殿下がお見初めになられたのですもの。リージュ様ならば、王太子妃のお役目も立派に成し遂げられます。自信をお持ちになって」

 鏡越しのネフィは真剣な眼差しで、私を奮い立たせた。

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     ネフィは有言実行とばかりに私をひん剥くと、お湯をかけ、普段使わないような高級な石鹸で体の隅々まで磨き上げていく。それは薔薇の香りが素晴らしく、泡立ちも滑らかだ。こんな物が我が家にあったなんて。「こんな石鹸、どうしたの」 不思議に思ってそう聞くと、ネフィは誇らしげに胸を張った。「リージュ様のここ一番に使うためにと、旦那様がご用意してくださったのです。今こそその時! 香油も一級品ですからね。王太子殿下も惚れ直す事請け合いです」 惚れ直すなんて、お会いした事も無いのに何を言っているのか。 でも、本当に何故私に求婚なんてされたのだろう。考えれば考えるほど分からない。父は王宮に上がっているから面識があるかもしれないけれど、私が王宮に行った事なんて両の指で事足りる。新年のお祝いや、十三歳の時、同じ歳の子息令嬢のお披露目で登城した程度だ。 そう考えた時、何かが引っかかった。なんだっけ。確かあのお披露目パーティーの時に何かあった気がするけれど、思い出せない。もう五年も前の事だし、幼かったから記憶が曖昧だ。初めて参加した夜会に舞い上がってもいた。脳裏に浮かぶのは小さな影。あれは誰だったか……。 頭を捻っている間にもメイド達の手は止まらない。髪を丁寧に洗われ、なされるがままに全身を揉み解される。仕上げに香油を念入りに揉みこまれ、髪はサラサラ、肌はツヤツヤと光を放っていた。ネフィ達も満足気にしている。 部屋着に袖を通しやっと開放される。そう思ったら。「明日また総仕上げを致します。お迎えは午後のお茶の時間でしたね。それまでに私共が最善を尽くして、リージュ様を三国一の美姫にしてみせます。ああ、楽しみですわ」 恍惚とした表情で身をよじるネフィは、どこから見ても危ない人だ。この子は昔から何かにつけて私を褒め称える。私自身は凡人だと自覚しているのに。やれ髪が美しいだの、瞳が綺麗だの、こちらの方が居た堪れない。 苦笑いで聞き流すと、ネフィは鼻息も荒く言い聞かせるように口を尖らせた。「リージュ様、貴女様はご自分を過小評価なされておいでです。髪の色も茶色だなんて、素晴らしい亜麻色ではありませんか。瞳もまるで澄んだ宝石のよう。何故そんなに自信が無いのか、私には分かりません」 そう言ってくれるのは嬉しいけれど、今まで誰にも求婚された事が無いのだから、自信も失うというものでしょう

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